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カクヒトは、キャンパスノートを生活の一部として大切に使ってくださっている方に皆様にインタビューし、使い方や書くことへのこだわりをご紹介しています。

五味 弘文さん

お化け屋敷プロデューサーのキャンパスノート

今回ご登場いただくのは、 “お化け屋敷プロデューサー”という肩書きをお持ちの五味弘文さん。五味さんは、人々は一体何に恐怖を感じるのか、恐怖の本質をひたすら掘り下げ、日々キャンパスノートに綴っています。「ノートは自分の一部!」と言い切る五味さんとキャンパスノートとの関係について、お話を聞いてきました。読むだけで背筋がぞーっとするノートの中身とともにどうぞ!

五味 弘文さん

劇団活動を経て、イベント企画に携わるようになる。1992年初めて手掛けたお化け屋敷「麿赤児のパノラマ怪奇館」(後楽園ゆうえんち(現 東京ドームシティ アトラクションズ))が驚異的な動員を記録。以来、全国のお化け屋敷をプロデュースし続けている。現在、株式会社オフィスバーン代表取締役。
(写真は、「呪い歯~密十号の家」のアトラクション前にて撮影。2013年9月23日まで、東京ドームシティ アトラクションズにて開催。)

まず“お化け屋敷プロデューサー”という肩書きに驚きましたし、惹かれました。

まあ、こんな肩書きを掲げているのは、きっと日本で私だけですからね。20年前にひょんなことからお化け屋敷の企画に関わったのですが、まさかそれが専業になるとは思ってもいませんでした。当時は“お化け屋敷を作る人”という概念が世の中になかったので、肩書きを聞かれるたびに答えに困っていました。ある時、テレビの取材を受け、その番組のディレクターの方が「テロップで肩書きを出したいのですが“お化け屋敷プロデューサー”でいいでしょうか?」と聞かれ、「いいですよ」と言ったのが初めで、それ以来“お化け屋敷プロデューサー”という肩書きになっています。

もともとお化け屋敷はお好きだったんですか?

はい、小さい頃から人を脅かしたり、怖がらせることが大好きだったんですよ。田舎に住んでいたので、夏になると家の中の一部屋にお化け屋敷を作って、親戚のおばさんを脅かしていました。お化け屋敷というのは、恐怖を体験して「楽しさ」を得るエンターテイメントなんです。出口を出てきたときの、緊張状態から解放された安堵の表情も含めてお化け屋敷の醍醐味だと思っています。昔、親戚のおばさんたちも「あ~、怖かった」といって笑って喜んでいましたが、思い返すと、そういう顔を見たいというのが今もずっと根底にあるのかもしれないですね。

それにしても20年もの間、毎年毎年新しいお化け屋敷をプロデュースされているわけですが、どうしてそんなに新しいアイディアを出せるんですか?

夏の期間限定のお化け屋敷を担当することが多いのですが、期間中、基本的に自分はずっと現場にいます。そもそも好きだからいるんですが、裏でお客様の様子をずっと見ています。たぶん、のべ500万人ぐらいの恐怖の瞬間は見てきたと思います。そうやってずーっと見ていると、失敗することもあります。つまり、こちらが考えに考えぬいて脅かしているのに、怖がってくれない、驚いてくれない、という状況。あの時ほど惨めで辛い気持ちになることはありません。

成功と失敗のラインが明確ですよね。

恐怖について話すときの五味さんはこんな表情!完全にいたずらっ子の顔になっています。

そうなんです。○か×しかないですから。一人でも怖がってくれない人がいるとものすごくへこみます。二度とこんな思いをしたくないから、なぜ怖がってくれなかったのか必死に考えるんです。毎日終電ぐらいまで現場でずーっと考える。そうやって徹底して考えてはノートに刻んで、なんてことを繰り返していると、恐怖とは何かという本質的なところがだんだん見えてきて、新しいアイディアにも繋がっていきます。

そうやって毎日考えたことを記録しているのがこのノートなんですね。

そうです。毎日毎日お化け屋敷に来る人を観察することで、「恐怖」と「不安」は何が違うのか、人間が「恐怖」を認識するメカニズムとはどういうものなのか、緊張や不安を感じた時に人はどういう行動をとるのか、「恐怖」をアトラクションにするのに何が必要なのか、とか、そういうことを考え続けています。そうやって本質を追いかけることは、思いついたアイデアを形にするときの「深み」になると僕は思うんですよ。だから時間があるときに、とにかく頭の中にあるものを書いていく。かばんの中にはいつも必ずキャンパスノートが入っています。記録して後から見返す、というよりは、書くことで頭の中に刻み込んでおく感じです。そうして刻みつけたものたちが、どこかのタイミングでつながって次の企画にまとまっていく、そんな流れです。

「恐怖を生みだす楽しさが、本当の恐怖に変わる瞬間、つまり信頼の限界を恐怖が超える瞬間。それを相手の様子を見ながら寸止めで止める。これを何度も繰り返す。」

五味さんはノートには鉛筆で書くと決めている。理由は、字が下手で特にボールペンの文字は見るに耐えないから、とのことですが、鉛筆の線の細い感じが、ノートの異様な雰囲気をさらに増しているような・・・。

『ゆびきりげんまん~ゆび切った!』次の瞬間、小指から血を流す女が苦しみながら現われる」・・・読んでいるだけで怖い(汗)ノートにはお化け屋敷の具体的なアイディアやストーリーも満載。

だんだん怖がってくれる確率は上がっていますか?

上がってはいるんですが、アルコールと同じで恐怖にも人によって強い、弱いがあるんですよ。まるっきり怖さを感じない方もいて、そういう方を怖がらせようと思うと、マニアックな方向にいってエンターテイメント性が失われます。
あとは誰もがそうですが、人には防衛本能があります。どうやったら悲鳴を上げないで済むかな、と皆さん考えますよね。それがいきすぎて、「私は何も考えません、見ません」と完全にシャットアウトされてしまうと、怖がらせるのは難しいですね。だから、人間の防衛本能の扉を開けて、いかにお客様の想像力を働かせるストーリーを考えられるかが、僕のお化け屋敷のテーマです。

お化け屋敷に来るお客さんにミッションを与えたり、何かを持たせたりするのもそのためですか?

そうです。2013年の夏に開催した東京ドームシティ アトラクションズのお化け屋敷は、ストーリーの主人公にある日生えてきた呪われた黒い歯をお客さんに抜いてきてもらうというものですが、そうやってお客さん自身にストーリーの中に参加してもらうことで、より恐怖感を高めるという演出です。

呪われた歯を素手で抜いてくるんですか!?もう今、こうして話している時点で十分怖いです・・・。さて、今後挑戦したいことはどんなことですか?

お化け屋敷の「中」でもっとストーリーに引き込まれて深く恐怖が刻まれるような体験をしてもらいたいですね。今もストーリー設定はあって、お化け屋敷に入る前に想像力を掻き立てることで恐怖感(期待感)に繋がっていると思っています。これからはそれをもう一歩深めて、お化け屋敷の「中」で。例えば、お化け屋敷とお芝居の中間のようなものとか。全く新しい形態になるかもしれないですけどね。

最後に、キャンパスノートを選んでいただいている理由があれば、ぜひ教えていただけますか?

ありますよ。実は今に至るまでに色々なノートを使っているんです。高級なものやデザイン性が高いものなんかも使ったことはありますが、何かそれに束縛されているような感じがして嫌でした。ノートに自分が合わせるのではなくて、自分の一部としてノートがあってほしいんですね。

キャンパスノートは五味さんの一部になれている、ということですか?

ちょっと失礼な言い方になるかもしれませんが、ノートをあまり大切に扱いたくないんです。自分の一部であって、身構えたり距離感を取ったりしたくない。自分が今考えていることを、できるだけ素直にノートに反映させたいんです。
使わないときはそのへんにほっておいても良し、かばんの中にちょっとぐらい雑に突っ込んでいても良し。で、使いたいときには、すぐそこで考えたことが書ける。そんな気兼ねない存在であってほしいですね。

ノートとの距離感ですか。

そうです。気兼ねなさという点では、どこでも手に入ることも大事です。なくなったから銀座まで買いに行かなきゃいけない、というのは絶対嫌です(笑)
あとは、他のメーカーでもキャンパスノートのような仕様(無線綴じ)のノートはあるじゃないですか。でもコクヨさんのものが一番丈夫でした。背の部分も絶対割れてこないし。やはり、気兼ねなく使えます。

キャンパスノートは丈夫さでいったら日本一なんです!ノートの中紙1枚に12リットル分のペットボトルをぶら下げても破れません!

さすがコクヨさん!素晴らしい!
ただ、正直なことを言うと、デザインは4代目が好きです(笑)

(インタビュー@東京ドームホテル ロビーラウンジ、2013年8月23日)

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