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誰かの人生の一部になれる 幸せなノートです。

「Brain Online Video Award 2013」企業賞受賞制作者インタビュー

今回お話を伺ったのは、「Brain Online Video Award 2013」(以下BOVA)の 企業賞に選ばせていただいたショートムービー「Campus notes」作者の宇田川美紀さん。 コクヨが出した、”何となく買っていた人が「キャンパスノートが欲しい!」に変わる動画”という お題に対してどんな動画を作られたんでしょうか。

宇田川美紀さん

(株)マザース、ディレクター。
武蔵野美術大学出身 イオン「お客様感謝デー」森永製菓「チョコボール」ユニセフ「世界手洗いの日プロジェクト」 などCM制作多数

この度は素晴らしい作品を応募いただき有り難うございました。
はじめに、今回BOVAに応募いただいたきっかけについて教えていただけますか?

私は、マザースというコマーシャルの制作会社で、ディレクターとしてCMの演出をしています。 小さな会社なので演出部が2人しかいないのですが、普段から「面白いことをやってみたいよね」と 同僚と言っていました。そんなとき「面白そうな賞があるよ」とBOVAの募集を同僚が教えてくれて、 社内的に盛り上がって応募しようということになりました。 正直コクヨさんのお題はライバルがいっぱいいると思ったんですが、 自分がいちばん身近で、作りたいものを作ろうと思って応募しました。

コンセプトはどういうふうに決まったんですか

結果的にはノートのかけらが戻っていく構成になっているんですが、最初はその逆で、 いろんなノートのかけらが集まったもので何か不思議な生物ができたら、 へんてこでおもしろいかなという発想で考えていました。 でも、それではお題に沿わないなと思って数日悩んだ末、「あっ逆にすればいいんじゃないか」と思いつきました。 そこからは2〜3週間の短い期間でプロデューサーやカメラマン達5人で作りました。 少人数なので私は今回ディレクター兼、アニメーターで編集もやっています。

作中にも現れる「不思議な生物」。ノートに書かれたかけらから構成されている

作品は、コクヨが一番キャンパスノートで伝えたい「色々な人の人生に寄り添う」というメッセージが一番よく伝わったので企業賞として選ばせていただきました

数日の苦悩の末、絞り出されたコピー。

ありがとうございます。基本的には課題に沿ったもので自分らしいものを作りたいと思いながら作りました。 一番最後のコピー(わたしの名前はキャンパスノート。 誰かの人生の一部になれる幸せなノートです。) に言いたいことが詰まっているんですが、文章にすると長くなっちゃうものを一言でどう言ったら伝えられるのかなって 数日、胃が痛くなるくらい考えました。普段、コピーを考えていないので苦労しましたが、 これが伝わらないと、それまでの映像がいくら可愛く動いても意味が無いと思ったので、 できたときはホッとしました。

途中で出てくるノートの中では、「浪人時代。夜な夜な描いていた、「理想の私」、、、今は少し違うけど、一児の母になり、わりと幸せです。」というところが一番よかったです。

今の自分の素直な気持ち

当時のノートには数々の野望が!謎の桃のイラストも・・・

恥ずかしいけど、それは私なんです。自分の状況を素直に書きました。予備校に通っていた浪人生 の頃、「デザイナーになる」「お金持ちになる」という野望をノートに書いていて その一部を撮影しています。自分の恥ずかしい部分をさらさないといけないんだろうなと思って 誰にも見せたくないノートを持ってきました。前のページにはポエムも書いてあったので それを見た時は、思わずぱたんと閉じましたね。 美大の予備校だったので、とにかく絵を描いては点数を付けられて毎日比較される日々だったんです。 それでアップダウンが割と激しくて、夜になるといろんなことを考えてしまいまして、 このノートがあったのでバランスが取れた感じがします。

一児のお母さんということですが、お子さんは男の子ですか。女の子ですか。

男の子です。キャラクターの声をやってもらいました。当時2歳3ヶ月で、 「おなかすいた」の「す」がどうしても言えなくて、一生懸命やったのですが「おなかういた」 になってしまいました。吹き出しに書いたから分かりますよね。 子育てをしながら働いていると、子供を寝かしつけるときに一緒に寝てしまいます。 でも私がやるって言ったのと、私にしかアニメーションを描くことはできないので、 夜中に起きて夜明けまで仕事をするというやり方をするようになりました。

それは大変でしたね。なお、私の周りでは「しょろしょろ帰ろう」という台詞も流行りました。

懐古の意味も含めた「しょろしょろ帰ろう」

本人に伝えておきます(笑)。「そろそろ帰ろう」というのは不思議な生物が持ち主のそれぞれの本来のノートのところに戻るという意味なのですが、「昔のノートを振り返ってみるのもいいんじゃないかな」という気持ちを込めています。ちょっと恥ずかしいんですけど、古いノートを見るとその時の気持ちを思い出して これからの人生にも新しい気持ちが生まれると思います。この作品を見た周囲の友達からも 「昔のノートを見たくなったよ」ということも言われました。 それと、意識してみるとあらゆるところにキャンパスノートが置かれているなということに気づきました。 公共のちょっとした施設とか病院とかでも使われていて、いろいろなものが記録されているんだな ということを改めて意識しました。

ノートを集めるのは大変ではなかったですか。

周りに結構キャンパスノートを使っている方が多かったので 集めるのはそんなには苦労しなかったです。ただ、子供の絵はどこ見てもいいよ という感じでやりやすかったのですが、若いころの日記など取り扱いがデリケートなものが多かったです。 撮影の時は本人立会いのもと、「このページだけしかだめだよっ」て。 でも、なるべく恥ずかしい物の方が面白いだろうなと思ったので 「恥ずかしいノート集めてます」と言って頼みました。 私のが最も恥ずかしいので頼みやすかったです。

集まった「恥ずかしいノート」

ご自身のものが最も恥ずかしかったとか・・・。

確かに若いころの夢は恥ずかしいこともありますが、それがあって今があるってことですね。
ところで、手書きの良さみたいなことを思うことはありますか。

私は描くことから始まってこの業界に来ているので、描かないことには始まりませんね。 CMの表現方法は色々あるんですがアニメーションが好きで得意なので、紙と鉛筆は欠かせません。 コンピュータでパチパチ打つこともあってそれっぽくできちゃうこともあるんですが、 手で描かないと自分で考えた感じがしないです。

普段はPC作業が多いが、やはり手描きの重要性は高い

制作秘話みたいなものはございますか。

今年は結構雪が降りましたよね。そのときに撮影したりしていました。締め切りのちょっと前も大雪で、 土曜日も間に合わないと思って土曜保育を利用したんですが、子供を抱っこして足が膝まで雪に埋まりながら保育園に行ったという思い出があります。なので、賞に選んでいただけて嬉しいです。

作品で使われたカンプ資料

子供との落書きページ。お絵かきの腕前は・・・?

こちらこそ、素晴らしい作品をありがとうございました。
私達もいろいろな人にこの動画を知ってもらいたいと思います。
本日はありがとうございました。

((KOKUYO S&T品川オフィス))

・タイトル: 「Campus notes」
・企画+演出+アニメーション:宇田川美紀(MOTHERS)
・撮影:合屋直樹・アニメーション:徳永修久(BOOK)
・PR:前島操(MOTHERS)・PM:菊池直彦(MOTHERS)